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2018.07.18

ボーダーライン 神幸祭編


 

みなさんこんにちは
千代田区のさまざまな境界線を探索する、ボーダーライン探検隊です。

色々と縁があって、6月8日に行われた日枝神社の山王祭りの神幸祭で鳳輦を引くことが出来ましたので今回はそのレポートをお届けします。とは言っても、お祭りの際にはカメラもスマホも持っていけなかったので、写真は全て後日撮ったものです。

日枝神社といえば神田明神と並んで、千代田区を代表する神社です。一応住所は千代田区永田町ですが、神社の前の大通り(外堀通り)を渡ると港区赤坂なので、千代田区と港区のボーダーラインにあります。神田明神も文京区とのボーダーラインにありますので、千代田区を代表する神社はどちらも千代田区のはずれにあるということになります。

当日、受付を済ませると朝食を摂るように言われ「どんな食事かなー」と、指定された場所に行ってみると机の上にコンビニおにぎりがずらりと整列。この人数(500名)だから仕方がないかと思い、手早くおにぎりを食べ、着替え場所へと向かいます。

ここで気がかりなことが一つ。参加者への注意書きに「下着は白いシャツに白いパンツ」と書かれていたので、通販で白いパンツを購入しました。ただ、あまり真っ白なパンツもどうかと思ったので、生成りっぽい物を購入しました。届いてみると、これが思ったより色が濃く、生成りというよりはクリーム色だったのです。なので「貴様ぁ!これが白か?お祭りなめてるのか!」などと怒られるのではないかとちょっと心配していたのですが、実際に着替え場所に行ってみると、「それ絶対に白じゃないよね」というパンツの人もちらほらおり、心配は全くの杞憂に終わりました。

そして、着替えが始まります。まずは地下足袋を履きます。地下足袋で一日中歩くのはきついだろうと、地下足袋用の中敷きを用意していたのですが、用意されていた地下足袋の靴底がナイキみたいなエアクッションがついた物だったので結局使いませんでした。

いよいよ衣装の着替えになりますが、当日の衣装は黄色の水干(狩衣かもしれない)。当然のことながらそんなものは着たことが無く、着付けのおばちゃんに着せてもらい着替えが完了。

お守り袋の様な物を首から下げ、その中に保険証のみを入れて、他の物は全部着替え所に置いてスタート地点へと移動します。

 

これが鳳輦

本日の私の役割は鳳輦を引くことなのですが、鳳輦とは一体何かをwikipediaで調べてみると、

鳳輦(ほうれん)は、「屋根に鳳凰の飾りのある天子の車」を意味する言葉で[1]、日本においては、古くから、天皇の正式な乗り物を意味するほか、現代では神社祭りなどに使われる、鳳凰の飾りがある神輿を意味する。」

と書かれており、写真を見ても少しデザインの違うお神輿みたいな物といった感じの物です。

スタート地点は日枝神社の駐車場なのですが、ここの駐車場には「わが国黎明期の牧場」という看板が設置されていて、それによると明治時代は千代田区の麹町、永田町、神田猿楽町その他いろいろな所に牧場があったそうです。

「わが国黎明期の牧場」の看板

ここで出発前の神事を行った後に出発します。一般道を車と同じように左側通行で進みます。私は鳳輦の左側に立っていたので歩道側から写真を撮られまくりです。

沿道の人から「○○さーん」などと声が掛かり、格調高い行列の割には結構ローカルなムードが漂います。

神幸祭の行列は、効率的な回り方をするのではなく、氏子の町会を全て回るので、同じような場所をあっちこっちと回ります。歩道には近所の幼稚園や小学校の生徒が見学に来ており、千代田区にもこんなに沢山子供がいるんだと思いました。(千代田区外から通っているのかもしれませんが)

途中、四ツ谷駅前でちょっとした休憩がありましたが、国立劇場で初の本格的な休憩。菓子パンと飲み物とおしぼりがとてもありがたい。(書き忘れていましたが、この日はとても暑かった)一息ついたところで出発。お堀端の道を通り、皇居の坂下門を目指します。

皇居坂下門

皇居坂下門前に着くと、ここで参賀・神符奏上が行われます。神事の最中は待機になりますがここでは飲食が不可なので、ぼーっとしていると外国人観光客が「写真を撮っていいか」とか「一緒に写真を撮らせてくれ」といっぱいやってきて、ちょっとした人気者の気分を味わえました。神事が終了したら出発です。

皇居を出ると、今度は「御幸通り」のど真ん中を進みます。「なんかすごいとこ通っているな」とテンションが上がります。そこから右折して今度は「丸の内仲通り」に入ります。ちょうど昼休みの時間だったのでかなりの人出でした。神幸祭の事を知らない人も多く、いきなりの行列に驚いている人も多かったようです。

行幸通り

三菱1号館の先を左折すると給水ポイントがあります。基本的にマラソンの給水ポイントと同じなのですが、鳳輦の右側の人の分も取ってあげなければならないので、大忙しです。水を用意する人も大変です。特に鳳輦のあたりは全行列中で最も人口密度が高い場所になっているので水の準備も間に合わず、後から追っかけてきてやっと給水が完了します。

ここから中央区エリアに入ります。「鈴らん通り」という神保町の商店街と同じ名前通りを通って(ちなみにすずらん通りという通りは都内だけでも15か所以上あるらしい)いるとなかなかいい感じのダクトを備えたお店がありました。ダクト愛好家の私としては「これは今度写真を撮りに来なければ」と住所を確認していると一緒に鳳輦を引いているベテランの方が「もうすぐ昼食だよ」と教えてくれました。

いい感じのダクトのお店

東京証券会館

しばらくして、日本橋日枝神社に到着。ここに鳳輦を置いて昼食に向かいます。人数が多いので昼食の場所も何か所かに分かれています。私は東京証券会館チームでした。お弁当は上品な味でおいしかったのですが、朝7時30分から午後2時ぐらいまで鳳輦を引っ張った身としては、もっと下品でしょっぱい味付けの弁当のほうがありがたかったかなと思います。

本当は冷房の効いた部屋でのんびりしたかったのですが「次が来るので食べ終わった人は交代して下さい」と言われたので、小心者の私は必要以上に早食いをして外に出ました。

予定では日本橋日枝神社の出発時刻は午後2時10分だったのですが、大分予定より遅れており、多分1時間ぐらい遅れて日本橋日枝神社を出発しました。(時計も携帯もないので時間が判らないのです)

日本橋日枝神社を出発すると、あともう少し的な気分になってきます。ベテランさんと「あそこの交差点で写真を撮ってるのうちの娘」などとほのぼのした会話をしたりしていると、行列は中央通りへと進んで行きます。

さすがに銀座が近付いてくると歩道の見物人がどんどん増えてきます。銀座四丁目の交差点(和光のある所)で混雑はピークに達し、交番のお巡りさんがスピーカーで「車道に出て写真を撮らないでください」と連呼していました。

新橋一丁目で最後の休憩を取り、日枝神社へ向かいます。ずっと平坦な道が続いていたのですが最後に霞が関の潮見坂が現れます。「これで坂は終わりだ」と自分に言い聞かせて最後の力を振り絞っていると、ベテランさんがとんでもないことを言います。「日枝神社に着いたら、女坂を登って本殿まで行くから」私はてっきり朝と同じ駐車場に着いたら終わりだと思っていたのですが、大間違いでした。

女坂というとそんなに急じゃないイメージがありますが、実際は結構急です。本当に最後の力を振り絞り、女坂を登ります。

 

結構急な女坂

上まで登り、やっとこれで終わりだと一息ついていると「鳳輦を本殿まで運ぶから」という鬼のような言葉。今までは鳳輦が台車の様な物に乗っかっていて、ゴロゴロと転がしていたのですが、ここで台車を切り離して、鳳輦を持ち上げます。

日枝神社山門

台車部分を切り離したので、軽くなったかと思ったのですが、下の枠の部分が鉄で出来ているのでえらく重いのです。また屋根の上に鳳凰の飾りが付いているので、思ったより高さがあり、普通に運ぶと入口につかえてしまいます。中腰になって、なるべく鳳輦の位置を低くしてギリギリで通過します。

そして、一息つく間もなく、今度は本殿へ入ります。

日枝神社本殿

本殿に鳳輦を収めて、やっとこれで終わりかと思ったのですが、これまでの経緯から考えるとまだまだ油断は出来ないと身構えていると、予想通り「神事が終わったら、展示場所まで鳳輦を移動して、そしたら本当に終わり」との事。

あともう少しと思っていると「神事、結構長いよ」とベテランさんのお言葉。その通りに大分長く待って、神事が終了。鳳輦を展示場所に移動して全て終了です。

更衣場所で着替えを済ませたら、直会です。暑い中歩き回ったのでビールが本当に美味しい。

最後に記念品をいただき、神幸祭は終了。

 

日枝神社の氏子地域は東京の神社で一番広いらしく、そこを全て歩いて回るのはなかなかハードでしたが、とても充実感がありました。

すっかり次回も参加する気になってしまい、今度はマイ地下足袋を用意しようと、ネット検索で「MOONSTAR × BEAMS JAPAN / 別注 地下足袋」やら「力王エアーたびフィット」やらを検索して一人で盛り上がっていたのですが、よくよく考えてみると次回も参加できるかどうか確定はしていないのだと、少し冷静になります。

まあ、あまり良い事ではないのですが、住民の減少により参加者の確保も大変なようなので、多分次回も参加はできると思うのですが、都心のお祭りが同じような問題を抱えていると思うと、お祭りの将来が心配になってしまいます。

written by
tetsuji

てつじ

【好き:坂道・機械式時計・取り込んだ布団】
冷静沈着で着実な視点をもつ。
過去に両親が古書店を経営。